2005年11月14日

杉本博司展「時間の終わり」

今日はちゃんと仕事をしようと思っていたのですが、だるさの泥沼に引き込まれてさぼることを決定。「時間の終わり」という、だるさにふさわしそうな展覧会を見に行くことにしました。

場所は六本木ヒルズの森タワー53階、森美術館です。ちょっと怪しげ...
入場料1500円は展望台とセット。別に六本木からの風景なんぞ見たくないぞ、今日は曇りだし、単独で1000円にしてくれよ、と思うのですが、もちろん無理です。
あ、チケットぴあだと1200円で買えるんですね。

杉本さんという人がどんな方かまったく知らずに出かけたのですが、展示されていたのは主に写真でした。でも「写真家」の作品と言われて想像するものとは、たぶん異なります。

◇◆◇

最初のほうに展示されていたものは「ちょっとおもしろい」ぐらいでしたが、「古代の人も今と同じ海を見ていたのだろうか」という発想から生まれた作品の部屋は、長時間いて瞑想するのにふさわしいようような不思議な空間でした。
「どうってことないじゃん」と、1分で通り過ぎることもできるような場所なのですが、入口で作者のことばを読み、暗い中に置かれた能の舞台と20枚ほどの海の写真、それに単純な音に浸っていると、あれこれ考えが浮かんできます。

その次の部屋で上映されている映像を見ると、その能舞台で実際に能が舞われた様子が映っているので、それを見てから再度その暗い部屋に戻って能舞台を眺めると、さらに想像力、思いをかき立てられると思います。

◇◆◇

映画のスクリーンを長時間露光した写真も、インパクトがありました。
映画の開始から終了までシャッターを開けたままにして撮影した写真です。スクリーンはただ白く輝いているだけで、モノとして存在感があるのは周囲の風景だけ。
なんだか哲学的で、これまた物思いにふけってしまいました。

さらに、昔の肖像画に基づいて作られた蝋人形を撮影した写真が展示されている部屋があるのですが、その部屋に掲げられたパネルに書かれている作者のことばの最後は、たしか「もしもこれらが生きているように見えるのならば、あなたは生の意味をおそらくもう一度、問い質さなければならない。」

◇◆◇

何も考えずに見て回ると、たいしておもしろくもない写真ばかりかもしれません。
けれど、写真を見るというのでなく、その写真をきっかけに自分の中で始まるものを提供してくれるという点で、興味深い作品に数多く出会えました。
展覧会で字を読むのを嫌う方もいらっしゃると思いますが、各部屋の入口にある作者による解説は、読んだ方がよいと思います。

そうそう、入ってすぐのところには、数式に基づいて作成された3次元図形の模型を撮影した写真が並んでいるのですが、その解説(作者自身のことば)にあった「芸術は、芸術的野心のないものにも宿るのだ」ということばも印象的でした。

滅多に図録は買わないのですが、ほしいと思いました。分厚いので高そうだな、どうしよう、と思ったら好評でソフトカバー(たしか6300円)は品切れ中。
ハードカバー15750円は残っていました。
posted by つきっつ at 19:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・映画・音楽・アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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